中学受験に必要な過去問の解き直し!繰り返し方や見直しのポイント

小学6年生は多くの子が夏休み明けから過去問演習を本格的に始めます。中学受験において過去問演習は志望校合格に欠かせません。とはいえ、限られた時間の中で塾の課題もこなしつつ過去問もこなしていくのは簡単なことではありません。

しかも、過去問というのはただ解けばいいものではなく、解くこと以上に解き直しが大切になってきます。きちんと解き直しをして弱点克服をすることが、志望校合格につながるのです。そのため、解く時間だけでなく解き直しの時間まで取る必要があります。

せっかくこれだけの時間をかけて過去問に取り組むのなら、少しでも合格力がつく取り組みをしたいものです。そこで、今回は中学受験の過去問の繰り返し方や見直しをする際のポイントを紹介します。正しい取り組みをすると、過去問演習を効率的に行えるうえ、合格がグッと近づきます。

目次

中学受験で過去問が重要視される理由

そもそも、なぜ過去問は中学入試において重要視されるのでしょう。理由がわかると過去問への取り組み方も変わってきます。

志望校の出題傾向を知ることができる

どの学校にも出題傾向があるものです。問題が多い学校もあれば、少ない問題数でじっくりと取り組むタイプの問題が出題される学校もあります。どの学校も入試問題は「こういう子に入学してほしい」という思いを持って作成します。そのため、どの教科の問題を見ても、学校によって特徴が出てくるのです。

もちろん、傾向はずっと同じとは限りません。そのため、万全の対策をしていても、当日には全く違うタイプの問題が出題されるということもあります。しかし、ベースとなる考え方や問題の特徴を理解しておくだけで、新しいタイプの問題でも取り組みやすさが変わってきます。合格の可能性を上げるために、志望校の出題傾向を把握しておくことは欠かせないことなのです。

試験日当日の予行練習ができる

試験時間は学校によって微妙に違います。4科目全てが同じ時間の場合もあれば、理科社会は合わせて40分といった配分のこともあります。また、時間割も学校によって、算数からか国語からか違う場合もあり、慣れておかないと頭が上手く働かないこともあるのです。そこで、本番と同じ時間で同じ傾向の問題を取り組むことで、当日のペース配分や試験の取り組み方をイメージしやすくすることができます。

特に、理科と社会の試験時間が「合わせて30分」という学校や、算数や理科社会が一問一答形式の問題が多くて短時間にたくさんの問題を解かなければならない学校、逆に1問ごとにしっかりと考えることが求められる学校など、時間配分や頭の使い方をある程度把握していないとうまく問題に取り組むことができません。「この学校のこの科目はこうやって解くのが一番得点につながる」という自分なりのパターンをつかむためにも、しっかりと繰り返して当日の予行練習をしておくことが大切なのです。

中学受験では過去問を何回繰り返すのが良いのか?

過去問は何度も繰り返すものだと言われますが、具体的に何回くらい繰り返せばよいのでしょう。必要以上に取り組むのは時間の無駄になってしまいます。効率よく必要なものを身につけていくためにも、適切な回数を知っておきましょう。

得点や志望度合いで変わる

漢字の練習をする際に、一律にすべての漢字を同じ回数書くのは効率的な勉強法とはいえません。これは過去問演習にも当てはまります。同じ問題ばかり何度も解くのは大変ですし、過去問の場合には一度解くのにかなり時間がかかるので、何度も同じものを複数回解く時間の余裕はありません。

例えば、一度解いて満点を取れた問題を何度も解きなおす必要はないです。過去問を解きなおす意義は、できなかったものをできるようにすることですから、解けなかったものを反復していくことが過去問対策になります。

そこで、まずはすべて本番通りに解いていくようにします。全教科試験本番同様に解くことができるのがベストですが、忙しくて4教科すべてを同じ日に解くことはなかなかできません。そのときは、1科目だけでもよいので試験時間通りか10分ほど短い時間にして全ての問題を解いてみるようにしましょう。

その後、答え合わせをして、できなかった問題は解き直しをします。解き直しを一度したくらいで全ての問題が解けるようになるわけではありません。そこで、解けなかった問題でも難しかったものは少し間を開けて解き直しをするようにします。このとき、できなかったものはできるようになるまで何度も解きなおしましょう。受験が近づいてきたら、一度でも間違えたものは再度解きなおして仕上げるようにします。

ただ、これだけの作業をするのはかなり時間がかかります。そこで、解き直しの際には優先順位を明確にすることが大切です。できるだけ志望度合いの高い学校は仕上げた状況で試験に臨みたいですから、志望度合いが高いものから優先的に過去問に取り組むようにしましょう。そのため、解き直しの回数としては、第一志望の学校が必然的に多くなります。

基本的には全てを何度も見直す必要はない

2回目以降の過去問の取り組みは、すべての問題を解きなおす必要はありません。中には「一度解けたのは偶然かもしれないから、もう一度解き直しをしたほうが安心。」と思う人もいるでしょう。たしかに、過去問を完璧にする、と思うと不安になり、何度も全てを解いたほうがいいような気持になるものです。しかし、そこまで過去問に時間を割くことはできません。もしも、一度解いて不安がある場合には、解き直しの際にしっかりと見直して次に出てきたときには確実に解けるように見直すことを徹底しましょう。

過去問の解き直しは、間違えた問題だけを重点的に解くようにすることが大切です。ただし、算数の大問や理科社会の問題など、つながりのある問題は間違えた問題だけ解くのが難しい問題もあります。そういったものは、手間はかかりますが全て解きなおしたほうが効果的です。

また、第一志望の学校の場合には、何度か繰り返して解けるようになったら、仕上げのためにもう一度全てを解きなおすのが理想的です。最初に比べて点数が上がっていると、自信につながります。また、全ての問題を解きなおすことで、試験問題の時間配分も確認できます。2回目以降の解き直しでは全ての問題を解かなくていいですが、第一志望だけは最後にもう一度すべての問題を解きなおす時間を設けられるよう、過去問を解く計画をしておきましょう。

3回目以降は少し時間を空けて取り組む

過去問を解いたらすぐに丸付けと解き直しをします。解いたものの答え合わせに時間を空けても意味がありません。その場で解きなおしたものが頭に入ったか確認するためにも1週間から2週間以内に2回目に取り組むのが理想的です。

しかし、2回解いてすべてを完璧にすることはできません。どうしても時間が経つと覚えていないものが出てきます。そこで、少し間を空けて再度取り組んで確認をするようにしましょう。

中学受験で過去問を解きなおすポイント

過去問を解きなおすときには以下のポイントを参考にしましょう。

教科ごとに解き直しノートを用意する

過去問の解き直しをする際、迷うのがどこになんの解き直しをするかです。学校ごと、教科ごとでノートを分けるとかなりの数のノートが必要になります。ノートの数が増えると管理が行き届きません。そこで、教科で分けて書くようにしましょう。タイトル部分に年度と回次、学校名をきちんと書くようにすれば管理もしやすくなります。

解き直しの際、理科と社会はなぜ間違えたのか、覚えていなかった知識をまとめておくようにしましょう。覚えていないことをまとめることで、自分だけのオリジナルの参考書ができます。空き時間ができたとき、すぐに見直しができる便利な参考書ができあがります。

解説をしっかりと読み込む

市販の過去問には解説が書かれています。そこで、答え合わせの際には、ただ〇×をつけるだけでなく、解説まで読むようにしましょう。特に、理科や社会、国語の知識問題は合わせて覚えておくとよい知識も書かれていることもあります。そのため解説を読むと、覚えてなかった知識を身につけることができたり、勘違いしていたことを正しく覚えるきっかけになったりもするのです。正解している問題も必ず解説を読み込んで、知識を確認するようにしましょう。

受験前は時間もなく、参考書や塾のテキストで過去の内容を探し出して見直す時間の余裕はありません。そのため、復習内容で覚えていない内容については、過去問の解説で振り返るのが効率的です。

わからない部分は塾や家庭教師に質問する

過去問の解説が書かれていても、読んで理解できないものはあるものです。わからないものは塾で質問をしたり、家庭教師を利用している場合には家庭教師の先生に質問したりして、必ず理解するようにしましょう。放置していても分かるようになるものでもないですし、長い時間考えてもわからないものはあります。ある程度考えてわからなかったら、すぐに切り替えて他の問題を解くようにし、そのかわりに塾や家庭教師に質問するようにします。

保護者に質問するのは避けるのが望ましいです。保護者にとっても難しく解けないという場合があるのはもちろんですが、解けても塾と指導方法が違うと、解説をしてもなかなか理解ができないですし混乱を招く原因となります。また、分からない問題を知ることで保護者も他の問題の状況が気になったり、思わず叱ってしまったりと悪循環に陥る原因にもなります。

行き当たりばったりの取り組みをしない

過去問は第一志望で5年から10年、第二志望以降も3年から5年分解くのが一般的です。複数回次ある学校の場合には、練習のために受験しない回次のものも解くほうがよいとされています。これだけの過去問をすべてこなし、なおかつ解き直しや繰り返しを行うとなるとかなりの量です。

そこで、これだけたくさんの過去問を解いて定着させるために、計画的にこなすことが大切になってきます。行き当たりばったりで過去問を解いていると解き残しが出てくる可能性があります。早めにスケジュールを組んでおき、いつ何をするのかをある程度明確にしておきましょう。特に解き直しはすき間時間に取り組むことが多くなるので、あらかじめ解き直しが残っているものが何か、ということと合わせて取り組む順番をリストにしておくと効率的に取り組むことができます。

中学受験の社会の過去問対策の最適な方法を知るための決定本!

『中学受験 第一志望に合格したいなら“社会”の後回しは危険です』(学研プラス)

中学受験において、【社会の過去問を始める時期】や【社会の過去問を何年分解いたらいいか】、さらに、【社会のどのように分析したら良いか】など、6年生の保護者の方が知りたいであろう社会の過去問の全てを凝縮した1冊です。

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まとめ

今回は過去問の取り組み方でも、特に繰り返す方法や解き直しについて紹介しました。過去問演習は合否を決めるとても大切なものです。できるだけ時間を割きたいものですが、学校があったり塾の授業や宿題があったりといった制限のある中では取り組む時間に限りがあります。そこで、繰り返す方法や見直す際のポイントをおさえた取り組みをすることがとても大切です。

今回は解き直しを効率的に行い、定着させるためのコツを紹介しています。これを参考に、過去問をしっかり解いて万全の体制で入試に臨みましょう。

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